第125回(2025/04/13)
皆様、こんにちは。3月の土曜日に品川で行われた第60回日本東洋心身医学研究会に行って来ました。この研究会は心身医学と東洋医学の融合でより良い心身一如の医学を目指す研究会です。
私はこの研究会のEBM委員会の委員をしていて、科学的に説明のしにくい東洋医学の現時点での科学的なエビデンスを専門科の先生方と集め、発表するという仕事をしています。つまり最近では漢方も西洋医学と同じように色々な科学的なデータも集まって来ており、西洋医学の専門科で漢方が苦手な先生方にも使いやすいデータの提供ができる時代になりつつあるということです。
また一般演題では色々な発表があったのですが、部活をやっている女子高生の症例発表がとても印象的でした。詳細は省きますが、勉強と部活を頑張りすぎて疲れた女子高生が西洋医学的な検査や治療を受けても明らかな異常がなく、症状の改善も見られなかったのですが、漢方治療で元気になった症例なのですが、そういうことはよくあるのですが、この良くなる過程で、漢方で良くなった女子高生が、元気になったので、またこれまでの部活を休んだ遅れを取りもどそうとランニングをしたら疲れてしまい、また漢方で良くなったら、無理をして症状が悪化するエピソードがあり、親御さんが、漢方で一度は良くなったのですが、またやっぱり漢方では良くなりませんというエピソードなのです。
ここで発表されていた先生が述べたかったのは、漢方が効かないのではなくて、女子高生が良くなっては無理を繰り返すという自転車操業の悪循環なのです。まだ十分回復していないのに、少し改善すれば無理をしてせっかく回復したエネルギーを使いすぎてまた悪化しているということなのです。そのことにご本人も親御さんも気づいていないことが問題なのです。
こういう方は結構いるのではないかと思い、とても勉強になったのと自分でも反省しました。僕は診察の合間のお昼の休憩時間に5km走って1km泳ぐというのをやっていて、春は花粉症で薬を飲んでいるのですが、それでも息が苦しく、最近花粉のせいで体調が悪いと家内に言っていたら、家内から「花粉もあるけど、ただの運動しすぎ!!」と怒られてしまい、そうかと思って少し運動のペースを落とし、休む日も増やしたらまた元気になりました。
皆様、運動もそうですが、なんでもやりすぎは禁物です。漢方では中庸と言って真ん中が一番良い状態で、元気すぎるのも良くないと考えます。皆様もやり過ぎには注意して中庸を目指すようにバランスをとってくださいね。自分の状態を把握し、自分を休ませてあげることができる最大の主治医は自分なのですから。