第35回(2017/08/06)
らいむらクリニックでは診察室、診療のあちこちに茶道のおもてなしが鏤(ちりば)められています。
今月はその一端をご紹介しますね。
まずは亭主(私)がらいむら庵(クリニック)に到着しますと外路地を掃き清めるお掃除から一日が始まります。
そして掃除がすみましたら、本日の招待客リストを確認し朝茶(あさちゃ:午前の診察)の準備を致します。
そして客(患者さん)が到着しますと、まずは寄付(よりつき)でお待ち頂きます。
寄付には季節の盆栽などを置いてございますので、ゆっくりと待ち時間もお楽しみください。
その際、茶室への帯刀は禁じておりますので、刀は刀掛けに置いておいて下さい。
そしてお客様をお迎えする準備が万事整いますと銅鑼の音のかわりにブラインドがガラガラと開く音が聞こえます。その音を合図に招待客は正客から順に中待合に入ります。
それから玄関番(受付スタッフ)や半東(看護師)が客と時候の挨拶を交わし、いよいよ茶席にお入り頂きます。
当庵の茶事の基本は一客一亭ですので、よほどの手助けが必要な小さなお子様、高齢の方を除いては正客のみお入り頂くよう御願いしております。
時々、次客が横から次々としゃべるため、せっかくの亭主の正客へのおもてなしが台無しになってしまう場合があり、この場合には次回からのお席には次客は外でお待ちいただく場合もございます。
お席に入りますと、お床の御軸や花、茶席のしつらえなどを拝見し、亭主は客と色々なお話をして、その人にあったお茶(漢方薬)を処方させて頂きます。
また再来の場合には前回の漢方薬のお服加減などを伺います。
この時「結構なお服加減でございました」という場合もあれば、「前回のは苦うございました」などと言われる場合もございます。このようなやりとりを何度かしながら、次第にお互いをよく知り、またお互いを高める事になって参ります。
そして茶事が終わりますと次回の招待状(予約表)をお渡しし、またの再会をお約束させていただきます。
12時前になり朝茶が終わりますと、今度は夜咄(よばなし:午後の診察)の準備を始めます。
また一から掃除を始め、午後の招待客リストを確認するわけです。
そして午後7時前になり、お詰めが帰りますと本日の茶事は無事終了となります。
それからまた明日の茶事に備え、茶席、中待合、寄付、外路地を清める作業を繰り返します。
当院ではこのような茶席を火曜、日曜、第2土曜日を除き月に20日以上設けております。
火曜日はらいむら庵では茶席は設けておりませんが、千葉中央メディカルセンターで午前のみ、私がお席を設けており、これを野点(のだて)と私の中では呼んでおります。
このように書きますとなんだか、受診するのが敷居が高いように思われる方もおられるかと思いますが、一期一会のおもてなしですから双方にお互いを思いやる心とお互いへの敬意さえあれば、なにも難しく考える事はございません。ただお茶を飲みにきて頂ければと思います。
ただし、予約をしないで急に来るというのは、言ってみれば招待を受けていないのに、突然に茶席に来るのと同じです。この場合には亭主からきちんと招待を受けて茶席に来られている方々にも御迷惑がかかりますのでご遠慮下さい。ただ、どうしても今日うまい茶が飲みたい!!という緊急の事もあろうかと思います。この場合には当庵では当日でも招待状を発行しておりますので、一言お電話で亭主のお招きの許可を得ていただければと思います。
またせっかく招待したのに、何の連絡もなく御席に来られない方もいます。
連絡できない止む得ない事情がある場合は別ですが、そうでない場合には二度と招待されませんのでお気をつけ下さい。
以上の最低限の茶席のマナーをお守り頂ければ、美味しいお茶(漢方薬)をご用意して皆様が元気で笑顔になって頂けるよう亭主、半東(看護師)、玄関番(受付スタッフ)一同、皆様のお越しを楽しみにお待ちしておりますので、ぜひ一期一会、らいむら庵にお越し下さいませ。喫茶去!!
らいむら庵亭主より