第66回(2020/03/06)
第1次世界大戦の終わりの年である1918年(大正7年)から1919年にかけてA型インフルエンザの一種であるスペイン風邪が世界的に大流行しました。
マスクをする日本の女性(出典:ja.wikipedia.org)
一説によると世界での感染者数は5億人以上(当時の世界人口は18~20億人なので、世界人類の3割近くが感染したことになります)、死者は5,000万人から1億人に及ぶと言われています。当時の日本でも人口5,500万人に対し39万人が死亡したと言われています。現在ではこのインフルエンザは鳥インフルエンザに由来するものでH1N1亜型であった可能性が高いとされています。
それよりももっと前、二千年前の中国でも同じような致死性の高い伝染病(一族200人の内、過半数が亡くなったという記述もあります)が流行りました。その当時(後漢)張仲景という先生がこの病をなんとかしようと思い書いた本が傷寒論です。
この傷寒論には現在でも風邪やインフルエンザに使用されている葛根湯や麻黄湯などの漢方薬が載っています。つまり二千年前に創薬されたお薬が今でも使用されているという超ロングセラーのお薬という事になります。西洋薬にこのような2千年間も使用されているロングセラーのお薬があるでしょうか?おそらく無いと思います。細菌やウイルスをたたく抗生物質や抗ウイルス薬には耐性菌や耐性ウイルスの出現により、そのお薬が効かなくなるという問題があります。
一方漢方薬はどうでしょうか?漢方薬は私達自身に作用して免疫力を上げることによって病からの治癒を促進するように働きます。二千年前の私達の先祖と私達では生活環境こそ違え、生物の人間としてはほとんど変わっていないため、二千年たった今でも漢方薬は効果を発揮するのだと思います。現に、中国でも抗HIVウイルス薬だけでなく漢方薬も新型コロナウイルスに対して使用されており、一部の漢方薬の購入に長蛇の列ができ、売り切れになっているとのニュースも流れています。
アメリカの野戦病院(出典:ja.wikipedia.org)
2千年前も、第1次世界大戦後も人類はこのような感染症と戦い、危機を乗り越えてきたわけです。だから今回の新型コロナウイルスに対しても、正しい知識と、適切な対処できっと終息に向かうと信じております。
孫子の謀攻編に「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」という格言があります。スペイン風邪の時では最初に医師・看護師の感染者が増え医療体制が崩壊してしまったため、感染被害が拡大したと言われています。
残念ながら当院ではコロナウイルスの検査や十分な隔離、感染予防対策ができない状況です。 以下は厚生労働省から出ている勧告を分かり安くまとめたものです。37.5度以上の発熱など風邪の症状がでたら学校や会社を休み外出を控えてください。そして毎日体温を測り記録してください。それでその症状が4日以上続く場合、高齢者、糖尿病、心不全などの持病がある人は2日以上続く場合、それ以外でも強いだるさや息苦しさがある場合にはすぐにでも千葉市帰国者・接触者センター ℡043(238)9966 か厚生労働省の相談窓口 ℡0120-565653 に相談し指示を仰いで下さい。
不要不急の外出を控える、うがい、手洗い、マスクの励行など皆様のご協力で一致団結してこの危機を乗り切りましょう。