第103回(2023/04/15)
日本がWBCで優勝した次の日に、イーライ・リリー社の中東・ヨーロッパ地域の責任者であるサイガン先生(サイガン先生はトルコ人なのですが、ドバイ在住です。)が当院を訪ねてくれました。
その際に最近改定され発表された片頭痛治療のヨーロッパのガイドラインについて説明して頂きました。
日本では、片頭痛の予防薬を使用してからでないと使うことができない片頭痛の注射薬をファーストチョイスで使用することが薦められています。つまりそれくらい効果があって安全だと認められているということです。しかも即効性があるため、患者さんを早く楽にしてあげることができる。痛い時期(時間)を長引かせない時間的な価値も存在すると思います。
現在日本では3種類の片頭痛の注射薬を使うことができます。またクリニックで注射するだけでなく、注射薬を処方することでご自宅でご自分で注射することも可能です。つまり、クリニックにくる間隔を月に1度から3ヶ月に1回に延長することも可能なので、忙しくて1ヶ月に1回定期的に来るのが難しい方にも朗報です。
ところで1980年9月にイラン・イラク戦争が始まりました。事態が膠着する中、1985年3月17日に48時間の猶予期限以降にイラン上空を飛ぶ飛行機は、無差別に攻撃するとサッダーム・フセイン大統領が突然宣言しました。
この当時イランに住む日本人を救うために、自衛隊法上自衛隊機を派遣するのは難しく、脱出が困難な状況となっていました。この時に在留邦人を救ってくれたのがトルコ政府です。ターキッシュ・エアラインズで215名の在留邦人がイランを脱出できたのはタイムリミットの1時間15分前というまさに危機一髪の状態でした。なぜトルコが邦人を助けにきてくれたか皆さんは知っていますか?
これには明治23年から続くトルコと日本の交流があったからです。1890年(明治23年)にトルコの軍艦エルトゥールル号が和歌山県の大島沖で遭難し500名以上の犠牲者が出ました。
この時、串本の町民が自らの命も顧みず、トルコ人の救出に奔走しました。それ以降大島にはトルコ記念館があり、毎年交流を続けています。この恩返しの意味でもトルコが日本人を救ってくれたのです。この実話は映画にもなっています。まさに情けは人のためならずですね。
話は戻りますが、当院では片頭痛の注射薬3種類とも使用することができますし、使用している患者さんはかなりの確率で頭痛が楽になっています。各種資料も取り揃えておりますので飲み薬でも頭痛が辛い方は遠慮なくご相談してください。