第118回(2024/07/08)
5月の31日から6月の2日にかけて大阪中之島の国際会議場で行われた第74回日本東洋医学会学術総会に行ってきました。
私は土曜日に行われたミニシンポジウム「漢方で頭痛に挑む」で座長と発表もしてきました。高知医療センター麻酔科の穴山先生が頸性頭痛、大阪でクリニックを開業されている脳外科の黒瀬先生が呉茱萸湯、千葉の亀田総合病院東洋医学診療科の南澤先生が地域による漢方診療の多様性について発表され、とても勉強になりました。私は頭痛を治すにはお薬だけではなくて生活習慣を改めることが大事だという発表をしてきました。
学会では学術的な発表以外にも様々な特別公演や講演がありました。和太鼓で全国大会に出場した大阪代表の芥川高校の和太鼓の演奏を聴きました。
とても素晴らしかったです。日本は国のできるはじめの天岩戸の頃から天岩戸から天照大御神に出てきてもらうのに、桶をひっくり返し、太鼓のように叩いたエピソードがあるように太古の血が和太鼓で騒ぎ出す感覚になりました。
儒教の身体観というテーマで中国哲学者で大阪大学名誉教授の加地伸行先生からお話を伺いました。
古来の稲作社会の日本では高齢者は働けるまで働き、働けなくなっても、村の共同体でみんなが最後まで面倒を見てくれた社会、子供も多く産む人、産まない人もいたが、みんなの子供としてみんなが村で面倒を見ていた社会で、子育てや老後があまり心配いらなかった社会であったというお話を聞きました。現在のいろいろな少子高齢化の問題を解決する方法が、昔の村社会の姿に一部あるのではという感じがしました。
生と死について〜禅僧と死生学者の視点〜というテーマで相国寺の小林玄徳老大師のお話を聞きました。
相国寺は禅の修行をする京都五山の有名なお寺ですが、まずは入り口の門の右のところに相見謝絶という札がかかっています。これは禅の専門道場なので、一般の方の相談にはのりませんよという印です。それで、これをみて帰るような人の悩みは大したことがないとのことで、それでもこのルールを破って相談に訪れる人には相談にのるそうです。その他にも入門するまでの厳しい儀式のお話も聞いたりしてとても興味深かったです。人間には誰しもに死が訪れますが、それゆえに今の生をいかに一生懸命に生きるかということが大切なのかなとお話を聞いて思いました。
その他にもいろいろな症例発表やレジェンドの先生方のお話を聞けて、とても実りのある学会でした。お休みを頂いて、皆様にはご迷惑をおかけしましたが、ここで得たことはまた診療でお返しできるようにしたいと思いますので、今後ともご協力よろしくお願い申し上げます。