第54回(2019/03/06)
2月の9日に富士市に行ってきました。新幹線のこだま号で東京駅から新富士駅まで約1時間10分です。
この日は珍しく、千葉は前日の夜から雪になり、朝にもまだ雪が降っていて、交通状況を心配しましたが、富士市では雪は降っておらず千葉よりも温かく穏やかな気候で無事に10分ほどの遅れで到着しました。富士市では頭痛やストレス疾患に対する漢方治療の話をしてきました。
駅をおりてしばらくすると富士山はもう目の前です。
講演も無事に終わり、この日は2月9日、そうです。
フク(ふぐ)の日なので、遠州灘でとれたふぐを頂きました。
遠州灘と言えば、若大将を目指している私としては、加山雄三の光進丸の歌詞「御子元、石廊、遠州超えて的矢、紀伊で黒潮にのる〜♪」を思い出しますね。
ふぐ刺し、てっちり、白子の焼き物、ふぐの唐揚げ、てっちりの後は雑炊、そしておまけに桜エビのかき揚げをふぐのひれ酒と一緒に頂いてきました。
その時の会話で、静岡のみなさんは穏やかで朗らかな人が多いという話しになりました。そこでふと、和歌山の人も穏やかで朗らかな人が多いよという話になり、静岡と和歌山は気候が温暖で似ているからかな?という話になったのですが、私はその時にピンとひらめいたのです。
ついに分かりました、どうして静岡の人と和歌山の人が穏やかなのか?
それはミカンを食べているからに違いありません。
静岡と言えば、三ヶ日みかん、和歌山と言えば有田みかんとJOINジュースです。みかんにはビタミンCが多く含まれており、そのビタミンCの効果を助けるヘスペリジンも含み風邪予防や抗アレルギー作用、美肌効果があります。またみかんを食べ過ぎると手が黄色くなりますが、その犯人であるβ‐クリプトキサンチンには発癌抑制作用があり、癌予防に効果があります。
みかんの酸っぱさの元であるクエン酸は疲れをとってくれます。みかんのうす皮や筋は食物線維やペクチンを含み便秘の解消や整腸作用があります。そしてさらに、みかんの皮は漢方では生薬の陳皮といってじんま疹や風邪のひき始めに使う香蘇散や胃の不調につかう平胃散やつわりや吐き気に使う、二陳湯、茯苓飲、いらいらなどを鎮める抑肝散加陳皮半夏などの漢方薬に含まれています。
この陳皮は漢方では気の巡りをよくする作用や嘔吐や咳をとめる効果があるとされています。また最近では陳皮に含まれるノビレチンは記憶力の改善作用があるとされ、認知症予防の分野でも注目されています。こんなにすばらしい効能のあるみかんをたくさん食べている和歌山の人、静岡の人は気候の穏やかさもあり穏やかで朗らかな人が多いのかもしれませんね。
ちなみに私の子供頃はおじいちゃん家からコンテナでみかんが送られてきて、冬の間は食べ放題です。春にはネーブル、夏には夏みかんやはっさくまでが送られてきました、つまり年中柑橘類が食べ放題でした。ここで、ひとつ風邪をひいたときのおすすめレシピをお教えしますね。
それはみかんの黒焼です。とても簡単です。みかんを網かガスコンロで弱火で皮ごと皮が真っ黒になるまで焼くだけです。少し黒いところをとって皮ごと食べても良いですし、あつあつの果汁をしぼって、生姜のしぼり汁と一緒に飲んでも効果がパワーアップしますよ。ぜひ、皆様もみかんを食べて下さいね。
山部赤人が詠んだ歌を2種類紹介しますね。
まずは静岡で詠んだ歌から万葉集の「田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にそ 不尽の高嶺に 雪は降りける」新古今和歌集や小倉百人一首では「田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ」と改編されています。
次ぎに和歌山で詠んだ歌では「和歌浦に 潮満ち来れば 潟をなみ 葦辺をさして 鶴鳴き渡る」です。
山部赤人は静岡でも、和歌山でも感動して歌を詠んだのですね。私も富士山をみて、美味しいふぐにさくらエビを食べて、元気を頂きました。最後に連休にもかかわらず講演にご参加頂いた先生方、また講演の準備をしていただいた現地のスタッフの皆様に感謝いたします。