第62回(2019/11/06)
台風15号、19号に続き、10月25日の金曜日になんと半日で1ヶ月分の雨が降りました。1時間に100mmの雨ですから、6時間降れば60cmの雨がたまるというとてつもない量の大雨です。千葉県でも河川の氾濫や土砂崩れがあり、10人が亡くなり、現時点でもまだ1人が行方不明となっています。
これまでのコラムで私は雨降りの日が静かで落ち着くので好きだと何回か書いたことがありますが、この大雨は恐怖を感じるものでした。クリニックは高台にあり、浸水などの被害はないだろうと安心していたのですが、降り続く雨が玄関の自働扉の所から入り込み、それが廊下にたまり、その貯まった雨水が、壁を通って、なんとクリニックの中まで床上浸水してきました。
こんな事ははじめてだったので、慌てて業者さんに連絡し、来てくれるまでの間、スタッフと一緒に水を雪かき用のスコップやモップ、雑巾などで外に出す作業をしました。
数時間後に業者さんが土嚢をもってきてくれて、玄関の扉の所に土嚢を積み、事なきを得ましたが、このまま降り続いたらどうなるのだろう?とただただ恐怖を感じました。
ここ最近のゲリラ豪雨や台風被害などは天災とはいえ、もしかしたら、私達の生活が地球に負担をかけている結果起こっている要素もあるのかもしれませんね。
5世紀の医方書の『小品方』に「下医は病を治し、中医は民を治し、上医は国を治す」という事が書いてありますが、そろそろ私達も、地球を治すことも考えて生活をしていかないといけない時期にきているのかもしれませんね。できる事からこつこつと積み重ね、皆で上医になる努力を続けないといけないのかもしれませんね。
先月から天災の大変な事ばかり書いてきましたが、ひとつ希望のある私の患者さんのお話をしますね。この子は高校生の男の子なのですが、趣味でお米を作っているそうです。そして、実りの秋である十月の米の収穫の時には神嘗祭(かんなめさい)を行っているというのです。
伊勢神宮ホームページより引用
素晴らしいと思いませんか?日本は古来、「豊葦原(とよあしはら)の瑞穗(みずほ)の国」つまり、みずみずしい稲が豊かに実る素晴らしい国と呼ばれてきました。そしてきっと、人々は自然の威力を畏怖するとともに、その恵みにも感謝をして、連綿とその感謝をささげるお祭りを受け継いできたのです。
この台風や大雨で少し考えた事は、最近、私達が自然への畏怖や感謝を忘れてきていたのではないか?という事です。私も、実は自宅の大家さんに畑を無償でお借りしているのですが、忙しさにかまけて、草が生えてもほったらかしで、大家さんが知らぬまに、草刈りをしてくれているありさまです。これからは患者さんの診療はもちろんですが、少し自然に感謝して地球を治す作業もできればと思っています。誰か、農業に詳しい方、らいむら農園再興のご指導よろしくお願い申し上げます。