第6回(2015/03/05)
三月三日は女の子の節句である桃の節句(雛祭り)ですね。
元々は上巳(じょうし)の節句と言われていました。
古来中国では三月上旬の巳の日(すなわち上巳)の日に、川で身を清め、不浄を祓った後に宴を催す習慣がありました。
これが平安時代に日本に伝わり、宮中の「人形遊び」と結びつき流し雛へと発展したと言われています。
この雛祭りの時に飾られる桃ですが、バラ科の落葉樹です。
桃の葉を入れた桃葉湯はあせもや皮膚の炎症に効くとされており、桃の果実は邪鬼を祓い不老長寿をもたらすとされています。そのため、中国では祝い事の際には桃の実をかたどった桃饅頭をたべます。
これは日本の中華料理店でも食べることができますね。
もしかしたら、桃太郎も鬼を退治する、邪鬼を祓うということから桃と関係があるのかもしれませんね。
桃の種の中の仁は桃仁といって漢方薬では血行をよくする生薬として桃核承気湯などの女性によく使われる方剤の中にも入っています。まさに女の人の味方の生薬なのですね。
また桃の節句に供えられる菱餅は菱形の餅ですが、赤、白、緑の三色の餅を重ねたものですが、赤は魔除けの色で解毒作用のあるクチナシの実で色をつけています。白は血圧を下げるひしの実が入り、子孫繁栄、長寿、純潔を、緑は強い香りで厄除け効果があるよもぎを用い健やかな成長を願います。
また全体の菱形は子孫の繁栄を表す形でもあります。
最後に一人、古来の伝説の女の神様(仙人)を紹介しますね。その神様(仙人)の名前は西王母です。
昔、仙人が住むといわれた場所が二つありました。東の蓬莱山、西の崑崙山です。その崑崙山に住む女主人が王母娘娘(ワンムーニャンニャン)なのです。西の王母なので西王母です。
この崑崙山には三千年に一度しか実がならないといわれる桃があり、この桃が不老長寿の秘薬といわれているのです。西遊記の中にも孫悟空がこの桃を盗む話がでてくるくらい有名な桃です。
このことから西王母は不老長寿の神様としてあがめられ、またこの西王母のお誕生日が三月三日なのです。茶花でもよく使われる椿の一種にも西王母がありますが、ここからとられています。日本の行事や昔話、草花の名前にまで桃が関係しているのですね。
らいむらクリニックでも雛飾りをしました。また桃の仁の入った漢方薬の力をかりて、女性だけでなく、男性も含め、元気になっていただくよう努めて参ります。