第99回(2022/12/06)
11月25日の金曜日に品川プリンスホテルで行われた第50回日本頭痛学会学術総会で発表してきました。私は東洋医学セミナーで「難治性頭痛に対する漢方治療」という演題名で発表してきました。
発表は無事に終わりホッとしております。
同じセッションで埼玉医科大学の山口先生が頭痛に対する鍼灸の有用性を発表されており、僕も連日のスライド作りで肩や首が凝っていたので、先生に鍼をしてもらったところ翌日からとても楽になりました。
学会の丸善の本屋さんで僕の書いた「頭痛の本」が売られていてとても嬉しかったです。そして何よりも嬉しかったのは、頭痛学会の前日に元マサチューセッツ・ジェネラルホスピタル、ハーバード大学の神経内科の教授で、現在はイーライ・リリー株式会社のTRIUMPH global 試験の責任者のモーリス・ビンセント先生が当院に遊びにきてくれました。
先生にはいろいろなお話を伺ったのですが、最初に先生から僕にぜひ聞きたいことがあると言われとても緊張したのですが、先生の一番目の質問が「日本がどうやってドイツに勝ったのか教えてくれ!」というものでした。これは先生が実はブラジル出身で大のサッカーファンであり、2014年のワールドカップのブラジル大会で母国開催の準決勝でブラジルがドイツに1−7の大差で敗れミネイロンの惨劇と呼ばれていることに由来します。
冒頭のこの質問でとても緊張していた僕は和み、その後も話が弾みました。先生からはいろいろな良いお話を聞けたのですが、とても印象に残ったお話が2つあります。
一つはscience(科学)への貢献というお話です。科学(医療)に貢献する方法には2つあります。一つは自分一人で研究し科学に貢献する方法、もう一つはみんなで協力し科学に貢献する方法だと。
現在世界規模で行われているTRIUMPH global 試験は片頭痛の注射薬であるエムガルティと他の内服の予防薬の効果や副作用の頻度などを調査する市販後調査ですが、この試験を実現するには当院のようなクリニック一つ一つの協力がなければ出来ないと。だからこの試験に協力してくれている当院に心から感謝していると責任者であるビンセント先生よりお礼の言葉を頂きました。これは僕のおかげではなく、当院に通院し、この試験に協力してくれている全ての患者さんのおかげだとビンセント先生に代わってこの場を借りて心より感謝申し上げます。本当に皆様のおかげで、今後の医療、科学のお役に立てることができると思います。
もう一つはビンセント先生が僕に言ってくれた言葉で「私たちは患者さんの頭痛を診ているのではない、頭痛のある患者さんを診ているのだ!!」という言葉でした。まさにその通りでついつい医療者は患者さんの疾患、病気に注意が向きがちです。しかし、そうではなくて、頭痛を持っている患者さんを診ている、患者さんが幸せな人生を送れるように患者さんに寄り添うという心構えが大切だということです。
ついつい医者になりたての初診をともすれば忘れがちになっている時にとても初心に帰る良い言葉をいただきました。また初心を忘れず気を引き締めて診療にあたりたいと思います。
翌日の学会会場でもビンセント先生に再開し、当院に来てくれたお礼を言うことが出来ました。またこの日はブラジルがセルビアに2−0で勝った日で先生もとても上機嫌で、今度アメリカのオフィスに遊びに行かせて頂く約束も取り付けました。
皆様には頭痛学会参加の日は臨時休診にさせていただき、ご迷惑をおかけしました。皆様のご理解、ご協力に感謝しております。今年も残すところわずかですが、皆様が良い年を迎えられるようクリニックのスタッフ一同ご協力できれば幸いです。 最後に今月のYouTubeの放送予定を貼っておきますね。