第5回(2015/02/05)
節分とは
各季節の始まりの日(立春、立夏、立秋、立冬)の前日を指し、
節分とは季節を分けるという意味からきています。
この季節の変わり目には邪気(邪鬼)が生じやすいと考えられ、
この邪気を追い払うために、豆をまいたのが、現在の節分の豆まきとして伝わってきています。
年が明け、いよいよ新年の始まりだなと思ったのが、
はやいもので、豆まきの季節である立春をすぎれば、暦の上ではこの日から立夏の前日までが春となります。
そして、いかに日本人が古来より春を待ち望んでいたかは、動植物の別名をみても明らかなのです。
例えば、春告草はどうでしょう? これは文字通り、春の訪れを知らせてくれる植物「梅」の異称です。
春告鳥はどうでしょうか? 梅と春とくれば、もうおわかりですね。鶯ですね。
春告魚はどうでしょうか?これは「鰊(ニシン)」のことですね。
このようにみても昔の人もいろいろな兆しを愛でながら、春の訪れを待ち望んでいたのですね。
患者さんの中にも春を待ち望んでいる方が多くいます。とくに寒さで痛みが悪化する疾患の方です。
関節リウマチや変形性膝関節症、腰痛など多くの痛みでお悩みの方にとっては
冬の寒さや、寒い中での重労働などは症状の悪化につながります。
このような方には血流をよくして温める桂枝茯苓丸や
温めて痛みをとる附子を含む八味丸や牛車腎気丸、桂枝加朮附湯、大防風湯などのお薬がよく使われます。
これらのお薬もやはり春になり温かくなってくることで、
お薬の温める作用が増強され、より効果がでる季節となってきます。
冬の間に枯れてしまったのかな?と思う木にも春になれば緑の芽が生えて、
冬の間はみられなかった鳥たちもどこからともなく飛んできてはさえずります。
このように自然のエネルギーの後押しをうけて、
お薬の内服だけではなくて、きっと病状も改善し、足取りも軽やかになる季節となってくるはずです。
「冬来たりなば春遠からじ」という諺もあります。
厳しい冬がくれば、春はすぐその隣、人生の厳しい冬もいつまでも続くわけではなく、
希望に満ちた未来がすぐ後ろに控えているということなのですね。
漢方で体調を整えて、春にそなえれば、足取りも軽く心も弾む春になると思います。
最後に春告草の別名を持つ梅ですが、もうひとつの別名があります。それを好文木(こうぶんぼく)と言います。
これは中国の歴代の王朝での皇帝の起居・言動を記した日記である起居注(ききょちゅう)に
晋の帝が学問に親しむと花が開き、学問をやめると花が開かなかった梅があった
という故事に由来しています。
梅の名所である水戸の偕楽園内にも
水戸藩主徳川斉昭(とくがわなりあき)が休息所として設けた好文亭がありますね。
私も皆様とご一緒に色々な勉強をして梅を満開にしたいと思いますので、今後ともよろしくお願い致します。