第116回(2024/05/23)
皆様、こんにちは。コロナ禍の2022年の8月に僕が書いた「がんばらない小さなクリニックの経営戦略」が、この度、セミナー事業を手掛ける宣伝会議様で、講座化されることが決定されました。
この本は、コロナ禍で患者さんの受診が減り、当院も含め、クリニックの経営に苦労されている先生方のために、少しでも参考になればと思い、当院でのこれまでの苦労や、その過程での僕の考え方の変化や、クリニック運営の工夫を書いた本です。発売後おかげさまで、クリニックの経営本としては一時的ですが、Amazon予約段階で第一位を獲得することができました。
しかしながら、患者さんにとってはクリニックをがんばらないなんて、ふざけていると思われるのではないかという心配もあり、本を書いたことを秘密にしていました。しかし、患者さんの中には、僕の本を見つけてくれて読んでくれた人がいて、患者さんとしての立場からしても本の内容は良かったですと言ってもらえることもありました。
そんな中、やっとコロナ禍も落ちつきつつありますが、実際のクリニックの経営はますます大変になってきています。まずは電気・水道代や人件費、クリニックで使用する物品の値上げです。飲食店や小売店では仕入れや人件費の値段が上がれば、それを消費者に説明し、その分を値上げすることができますが、保険診療のクリニックでは、国が値段を決めているため、仕入れや人件費にかかる値上がり分は、クリニックの自己負担となり、利益が出にくくなってしまいます。
国民皆保険制度が赤字続きで、破綻が目の前に見えている今、国は診療報酬を改訂し、医療費を削減しようとしています。また働き方改革により、非常勤医師の確保やスタッフの確保が難しくなり、人件費もあがってきています。このコストプッシュインフレや人手不足の医療業界の窮地を救うのは、医療機関と各種業者様、医療機関と患者様との連携が不可欠だという趣旨の内容が、この度宣伝会議様の目に留まり、講座になることが決まりました。
もしもこのコラムを読まれた医療業界の皆様、ご興味があれば、この講座を聴いていただき、志を同じくする皆様と一致団結して、この苦境を乗り越え、地域の医療を継続できればと思います。クリニックを受診してくれている皆様にも、一般のクリニックが置かれている厳しい状況をご理解いただき、地域の医療を継続するためにもご理解・ご協力いただければ幸いです。