第45回(2018/06/07)
5月の日曜日に秩父の大友内科医院の大友一夫先生の勉強会である「さきたまオケラの会」に参加してきました。ただ参加したのではなくて、今回は私の師匠である寺澤捷年先生がこの会の特別講演に呼ばれたため、光栄にも鞄持ちでお供する事ができました。いつもお世話になっている和光治療院の平地治美先生もご一緒してくれました。朝8時に寺澤先生をお迎えに上がり、行きは順調で11時半くらいには会場の太平洋セメント有恒クラブ羊山亭に到着しました。
ここは芝桜で有名な羊山公園内にあり、元々は秩父セメント(現太平洋セメント)株式会社の迎賓館として建てられたものです。昭和30年には昭和天皇秩父行幸の際には宿泊されたとても由緒ある場所なのです。現地に到着し、一服お茶を頂いてから、お昼を頂きました。
そのお昼がなんと、幻の「こいけ」のおそばでした。手打ちそば「こいけ」は秩父ではとても有名なお蕎麦屋さんでしたが、残念ながら2016年に閉店してしまいました。ただ「こいけ」の手打ちそばを惜しむ声は多く1年ぶりに元店主の小池重雄さんが長瀞町のイベントで手打ちそばを披露した時にはニュースになるほどの有名な人なのです。なんとその小池さんが、今回のこの寺澤先生が講演される勉強会のためにおそばを打ってくれたのです。寺澤先生のお供をしたおかげで、まずはその幻のおそばを頂く事ができました。
とても美味しかったのですが、私の横で一緒におそばを食べていたのが慶応大学病院漢方医学センターの小池宙先生です。なんと小池先生は小池重雄さんの甥御さんだったのです。こんな偶然ってあるのですね。これだけでも秩父に行ったかいがあったというと偉い先生方に怒られそうですが。
本題の寺澤先生の講演は漢方に三焦という概念(ちょっと説明するのが難しいのですが、つまり現代医学的には説明が難しい概念であったという事なのですが)があるのですが、これは臓側間膜であるという論文を大友先生が40年も前に発表されていました。しかし、最近になって新しく重要な役割をしている消化器系の臓器として腸間膜(元々はただの消化管を支える膜で重要な役割はしていないと思われていました)がグレイの解剖書に記載されたという出来事がありました。この事と大友先生の書いた論文を再発見して寺澤先生が日本東洋医学雑誌に「三焦に関する大友一夫学説の妥当性」という論文を発表されたのです。
この事がきっかけで今回のオケラの会に寺澤先生が講演に呼ばれて、とても光栄な事に鞄持ちとしてお供する事ができたというわけです。これは元をたどれば、今年の1月の東洋医学会の千葉県部会に大友一夫先生におこしいただき「温散薬による表湿裏燥」という演題で講演を賜りました。その際にご同行されていた浩気堂薬局の坂本浩司先生に今回のオケラの会に寺澤先生が行かれるというのを教えて頂き、鞄持ちを図々しくも名乗りでたのがきっかけなのです。
会の準備、また当日にも坂本先生には大変お世話になりこの場を借りて感謝申し上げます。寺澤先生の講演、またその後の大友先生のお話もとても勉強になり、ぜひ、またオケラの会に参加できればと思いました。秩父の美しい景色を見て、幻の「こいけ」の蕎麦を食べ、寺澤先生の講演を聴けて勉強もできるというすばらしい一日を過ごす事ができました。これでまたモチベーションがあがりましたので、私も勉強をがんばってまた皆様に還元したいと思います。