第8回(2015/05/05)
端午の「端」は物のはし、つまり始まりを意味し、月初めの午(うま)の日の節句というのが端午の節句です。
古代中国ではこの日を薬草取りの日としていて、薬草を摘んで野遊びをする日でした。
これが日本に伝わり、平安時代は男女関係なく、邪気を祓うために菖蒲(しょうぶ)を浸したお酒を飲んだり、蓬(よもぎ)を軒につるしたりしていました。
5月は田植えの季節で昔は若い女性がするものでした。
田植えは神聖な行事であったため女性は菖蒲や蓬で屋根を葺いた小屋にこもり、菖蒲酒をのんで穢れを祓い神聖な存在になったそうです。
これにちなみ、端午の節句は、じつは女児節ともいわれ、女の子のお祝いをする行事であったのです。
それが、鎌倉時代に入り、武士の力が強くなると菖蒲を尚武(武道、武勇を重んじること)とかけ、男の子の節句になったのですね。
端午の節句で食べられる柏餅や粽(ちまき)には意味があります。
柏は新芽が出ない限り古い葉が落ちないために、古くから家系・後継者が絶えない、つまり子孫繁栄に通じる縁起の良い木と考えられ神事に用いられてきました。
粽には笹やチガヤの葉が使われますが、昔は菖蒲の葉も使われたようで、菖蒲は災厄を退け、悪霊を祓う強い霊力が備わっており、子供の生命力を強くするといわれています。
鯉のぼりは中国の故事「鯉変じて龍となる」から出世魚とされ、子供の立身出世を願い飾られるようになりました。 この鯉のぼりの上で揺れる五色(青・赤・黄・白・黒)の吹き流しの色は漢方の理論でも今でも利用されている五行からきており、邪気を祓う強い霊力をもり、鯉とともにその家の幼い子供を守る存在です。
急な気候変動で体長を崩しやすい時期に昔の人達も節句を用いて気を引き締め、薬草の知識なども利用して健康管理に務めていたのですね。これらの知識は今でも役立つことが多いものですので、ぜひ皆様も生活に取り入れ、健康管理にお役立て下さい。