第117回(2024/06/13)
皆さん、こんにちは。5月の連休の終わりに昨年もお世話になった朝霧高原のリトリート日月クラブに行って来ました。そこで色々なお話を聞いたり、自然農園を実践する富士山ホリスティック農学校の畑を見せて頂いたりと、とても貴重な経験をしたので、今回のコラムで皆さまにもシェアしたいと思います。
日本の食料自給率を知っていますか?日本の食料自給率は38%で、カナダ266%、オーストラリア200%、アメリカ132%、フランス125%、ドイツ86%、イギリス65%、イタリア60%、スイス51% となっており、先進国の中でも最低の水準となっています。僕が生まれる少し前の1965年の日本の食料自給率は70%以上ありました。昔は、今よりたくさんの農産物を作っていたのですが、安い外国産におされて、だんだんと減ってきました。
また、日本人の食事が欧米化して、肉や油を使った料理を食べることが多くなりました。しかし、国土のせまい日本では、それらを十分に作ることはできないので、輸入にたよることになります。このように、国内での生産が減り、輸入が増えたことで、食料自給率が低下したと思われます。
日本人の6割が餓死する「世界で最初に飢えるのは日本」という恐い本もあります。でも、もし気候変動や戦争などで、輸入元となっている国の食糧の生産量が減ってしまったら、まずは自国の国民を優先しますよね。そうなれば例えお金があっても食料が買えなくなる危険性もあるということです。そこで最低限、自分の食べる分くらいは自分で生産できるようになろうというのが富士山ホリスティック農学校のコンセプトです。
ただ、ここで大きな問題があるのです。それは種の問題です。皆さんはF1って聞いたことがありますか?Formula 1の車のレースのことではありません。F1種のことです。これは安定して品質の高い作物ができるというメリットもあるのですが、その一方で自家採取できないため、毎回種苗会社から種を買う必要があります。
それだけなら、大した問題はないと思うかもしれませんが、その種の特許を外国の企業が持っていることが問題です。例えば、京都の長い歴史と伝統に育まれ、豊かな食文化を支えてきた京野菜の種の特許ですら外国が持っている状況なのです。つまり政治的にも日本に種を出しませんよと言われれば、私達は自分達の食べるものすら生産できない状況になっているのです。
皆さんは御種人参って聞いたことがありますか?これは薬用に使う朝鮮人参の種子を8代将軍の徳川吉宗が各地の大名に分け与え、栽培を奨励したので、将軍様から頂いた種ということで御種人参と呼ばれるようになったという説があります。このように昔から種はとっても大切なものだったのですね。
皆さんは、何か食べ物を育てていますか、あるいは作れそうでしょうか?僕は、全く知識がないので、これからは少しずつ農業を勉強しようと思っています。飢えるのは嫌ですからね。徴兵制と聞くと、物騒な感じがして反対意見も多いと思いますが、徴農制はどうでしょうか?みんながある一定期間、自分達の食べるものくらい作れる知識を得て、外で畑仕事をして体も健康になるという制度ならどうでしょうか?強制だと抵抗がありますが、これから少しは食料自給率のことも考え、家庭菜園の勉強をするのも良いかもしれませんね。これからはお金持ちより、お種持ちの時代だと思いました。