当院では漢方薬は保険適応です。
インスタント方式のエキス剤から刻み生薬を使用した煮出すタイプの煎じ薬まですべて保険がききます。
逆に保険が適応されない生薬でも効果が実証されているものもあり、これについても患者さんとのご相談で対応させていただきます。
漢方薬には風邪や胃腸炎、めまい、頭痛、筋肉痛などでも飲んですぐに効果があるものもあります。
また痛みやしびれ、冷え症、月経不順やその他の慢性疾患である程度長期に飲まないと効果があらわれにくい場合もありますが、この場合にでも数週間から数ヶ月飲めば、なんらかの良い変化がでてくる場合が多く、内服を継続することで、もともとの困っていた症状が治まってくる場合も多く経験しております。
残念ながら漢方薬もお薬のため、副作用があります。ただ、頻度は少なく、でやすいものと、比較的安全なものがあります。
具体的には甘草を含むお薬では高血圧や浮腫、低カリウム血症など、黄ごんを含むお薬では肝障害や間質性肺炎などです。これら副作用の頻度は少なく、また副作用がでていないかどうか、当院では血圧の測定やむくみのチェック、血液検査や血中の酸素飽和度などを測定し、副作用の早期発見に努めております。
また万が一副作用がでた場合でも内服を中止し、適切な対処をすることで改善しますのでご安心ください。
一般的には漢方薬は食前や食間のお腹のすいている時に飲む方がお薬の吸収が良いため、効果がでやすいと考えられています。
ただし、食後に飲んでも効果がないとか、あるいは副作用がでるなどということはありませんので、食前に飲み忘れた場合には食後に飲んでもかまいませんし、また胃腸が弱い方で食前に飲むと胃もたれの症状がでる方の場合には食後に飲まれても問題ありません。
漢方診療では望診(ぼうしん)といってまず患者さんの全体の雰囲気や顔色や歩き方などをひろく見ます。
それから聞診(ぶんしん)といって患者さんの息づかいや声の調子などを聞いて、
問診といってこれまでの経過や今の症状や普段の生活のことなどまで広くお話を聞きます。
それから切診(せっしん)といって脈をみたり、舌をみたり、お腹をみたり、頭の先から足の先までを診せていただきます。
それらを総合的に判断して、その方に合うお薬を選択していきます。
これは漢方薬の特有の現象で、西洋薬では病名が決まればお薬がきまります。例えば頭痛でこられたら、頭痛薬(鎮痛薬)という具合です。
これは年齢や体重によってお薬の量は変えますが、基本的には鎮痛薬(鎮痛薬の中にはいろいろな種類がありますが)を処方することは患者さんが違っても症状や病名が同じなら同じ種類のお薬となります。
しかし、漢方薬は同じ頭痛の人がきても冷え症の頭痛の人、暑がりの頭痛の人では同じ頭痛でもお薬が違い、冷え症の人の頭痛の漢方薬、暑がりの人の頭痛の漢方薬とお薬の種類が異なる場合があります。
またお腹の調子が悪い頭痛の人の場合にはお腹の調子を良くする漢方薬をだすことで、頭痛も治ってしまう場合があるため、頭痛で受診されたのにもかかわらずお腹のお薬を処方する場合もありますが、これも間違いではありません。
漢方では体全体の調子を良くすることで、最終的には患者さんの困っている症状が少しでも楽にする治療体系なのです。
できるだけ患者さまには今の状態を説明し、それを治すお薬を処方することを説明させていただきますが、もしも疑問点があれば遠慮なくご質問ください。
これは大丈夫な場合とそうでない場合があります。
また、もともとの病気によっても漢方薬を一緒に飲んでもよい場合とそうでない場合もありますので、現時点で他院に通院されていたり、サプリメントや薬局の漢方薬を内服されている方は受診時にその情報を教えて頂ければ、ご相談の上で最良の治療を提案させていただきます。
漢方薬はいつまで飲まなければいけないとか、途中でやめると大変な事になるなどということはありません。
これはその患者さんに応じて、必要な時に必要な期間上手に利用して飲むということになると思います。
患者さんの症状や診察所見からご一緒に相談していければ良いかなと考えております。
煎じ薬は煎じるという手間がかかりますが、中に入っている生薬単位で患者さんの病態に合わせて調節できるという面ではオーダーメイドのお薬を処方するという利点があります。
エキス製剤はお湯で溶いて飲めますので、持ち運びに便利で手軽にいつでもどこでも飲みやすいという利点があります。エキス製剤の種類や量は調整できますが、完全にオーダーメイドとはいかない欠点があります。
どちらが良いかは患者さんの症状や利便性も考えてご相談して決定したいと思います。
現在ではタイマーのついた自動煎じ器や煎じてパック詰めする有料サービスなどもありますし、時間のあるときは煎じ薬で、忙しいときはエキス製剤と使い分けている患者さんもおられます。
もちろんです。きちんとその先生に宛てた紹介状を作成し、エキス製剤でも煎じ薬でも内容の詳細を入れたものをお渡し致しますのでご安心ください。
頭痛の患者さんの多く(9割以上)は片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛といって脳腫瘍やくも膜下出血などの悪い原因ではない頭痛です。
頭痛が続く、増悪する、頭痛以外の手足の麻痺や言葉の障害、ふらつきなどの症状をともなう場合には悪い原因のことがあり注意が必要です。
緊張型頭痛は肩こりなど首や肩の血流が悪くなり起こってくる頭痛です。
原因としては長時間の同じ姿勢での作業や運動不足、冷え症、ストレスなどからくる場合もあります。姿勢を気をつけたり、運動をしたりすれば改善する場合もありますが、漢方薬などで冷え症を改善したり、血流をよくしたり、筋肉の緊張をゆるめるお薬などを使用する場合もあります。
片頭痛はいろいろな刺激によって脳が興奮して起こる頭痛です。
原因としては睡眠のリズムの乱れや音、光、臭いの刺激、ストレス、ホルモンのバランスの乱れなどです。
コンサートや映画に行くと頭痛がする、香水やペンキの臭いで頭痛がする、天気の良い日に人混みに行くと頭痛がするなどは片頭痛の可能性があります。
片頭痛には専用のお薬もあり、これは一般的な鎮痛薬を飲んでいるよりも効果があり安全ですので、ぜひいちどご相談ください。
これは月経関連片頭痛の可能性があり、生理痛ではありません。女性ホルモンの中のエストロゲンが月経周期にともない変化する時に起こる頭痛です。
この頭痛は一般の片頭痛よりも長く続き、鎮痛薬も効きにくいことから適切な治療が必要ですので、いちどご相談ください。
緊張型頭痛と片頭痛を一緒に持っている方は多くおられます。
この時、どちらの頭痛か判断がつかないため、いつ片頭痛のお薬を飲んだら良いのか分からないという方がおられます。
この見分け方は緊張型頭痛は動いていると改善しますが、片頭痛は動いていると(家事や仕事をしていると)悪化してきます。
この場合には片頭痛ですので、片頭痛のお薬を早い目に飲んで下さい。
妊娠を希望している、現在妊娠(妊娠の週数に応じて)をしているなどによって少し異なるのですが、比較的安全に飲めるお薬もありますので、症状のつらさに応じてご相談に応じます。またお薬以外の食事や生活指導もできますのでご安心ください。
これも先ほどの妊娠中のお薬の質問と同じで、お薬によっておっぱいへの移行率や移行速度が異なるため、内服薬の種類、内服するタイミングと授乳のタイミングを調整することで飲めるお薬もあるため、ご相談ください。
漢方薬は頭痛に効果があります。
これは私の独断ではなくて、日本頭痛学会が出している「慢性頭痛の診療ガイドライン」にも漢方薬は頭痛治療に推奨されています。
どのような漢方薬がよいかは、患者さんにより異なるのですが、この分野は私の得意分野ですので、その患者さんにあう漢方薬を調整させていただきますので、ご安心ください。
本当です。市販の頭痛薬や病院で処方された鎮痛薬でも一ヶ月に15日以上、3ヶ月に渡って痛み止めを飲んでいる場合にはお薬の飲み過ぎによる頭痛(薬物乱用頭痛)が起こってくる可能性があります。
これは鎮痛薬を飲むのではなく、頭痛を予防するお薬を飲んだり、頭痛がおきにくい生活を心がける必要があります。
生活指導も含め、頭痛をできるだけ起きにくくするお薬や、頭痛が起きても飲んでも良いお薬を調整します。
鎮痛薬をずっと飲んでいますと胃に負担がかかり、胃潰瘍になったり、血圧があがったり、腎障害がでたり、痛みに過敏になったり(少しの痛みでも我慢できなくなる)、冷え症が悪化したりする場合もあるので注意が必要です。多くの患者さんが、私の指導で鎮痛薬を減量したり、やめることで頭痛が改善しておりますので、ぜひいちどご相談ください。
これにはいろいろな理由があるのですが、まずはお薬の種類です。
お薬は飲んですぐに効いてくるタイプのものと、ある程度長く飲まないと効いてこないタイプのお薬があり、お薬を飲み始めて間がない時期には十分な効果がでていない時期なので、しばらく飲んでから判断する必要がある場合もあります。
またすぐに効く頭痛薬のタイプも片頭痛の発作の際には、お腹の動きも悪くなっているためどのようなお薬を飲んでもお薬の吸収が悪く、効果が出にくい場合もあります。この場合には頭痛薬と一緒にお腹の動きをよくするお薬を一緒に内服することによって効果が出る場合もあります。
あとはお薬の飲むタイミングです。すごく痛くなってから飲んでも効果がないお薬もあるので、少し痛くなった時点で早い目にお薬を飲めば、効果がでる場合もあります。
これも頭痛のタイプとお薬の種類によるのですが、一般的な片頭痛の発作のお薬は2時間あければもう一錠飲んでもよいのですが、いつも2錠飲む場合にははじめから2錠飲んでもよいお薬もあります。あるいはもう少し長く効くお薬に変えていくこともできます。
頭痛の発作のタイプによって適切なお薬を調整していきますので、ご相談ください。