第14回(2015/11/05)
11月8日を過ぎれば立冬です。吹く風もだんだんと冷たくなってきましたね。
東洋医学では寒邪(かんじゃ)、風邪(ふうじゃ)といって寒さや風は病気を起こす原因だと考えられてきました。
例えば、寒くなってくるこの季節にインフルエンザや急性胃腸炎が流行したり、
足腰の痛みが寒さで悪化するなどです。
漢方薬には暖めて元気にする風邪薬やお腹の調子をよくする薬、暖めて痛みをとる薬が多くあります。
これは西洋薬には解熱鎮痛薬はあってもなかなか暖めて痛みをとったり、元気にするお薬がないため、
この暖めて治療するというのは漢方薬の得意分野となります。
風邪やインフルエンザの時に熱が出るのは
体が熱を出して、ウイルスや菌を排除し体を治そうとする反応のひとつなのだと考えられます。
それをむやみに解熱剤で熱を下げてしまうことは
時には風邪の治りを遅くしたり、場合によっては症状を悪化させてしまう場合もあるため、
発熱だけではなく全身状態をみて、慎重に使用する必要があると考えます。
一方漢方薬はこの体の発熱を助けることによって早くウイルスや菌を排除し、汗をかかせたり、尿をだしたり、便をだしたりすることで熱が下がるように誘導する作用があります。
抗ウイルス薬や抗生物質と漢方薬をうまく併用することで風邪やインフルエンザ、急性胃腸炎などのこれから流行する病気を早く楽に治せるのではないかと考えています。
ところでこれからの季節にぴったりなのが鍋料理です。
体も暖まりますし、火の通った料理ですので胃腸炎の心配も低くなる一石二鳥の料理です。
私は料理が好きでよく料理番組を見るのですが、ある日の料理番組で韓国の漁村に昔から伝わる名物料理で美味しくて元気のでる鍋料理を紹介していました。
地元の野菜や魚介類がふんだんに入り体も温まる薬味が多く使われているのですが、その鍋料理の名前が字幕で入っていたのですが、十全大補湯だったのです。
韓国語でなんと読むのかは分かりませんが、これは日本では十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)といって漢方薬の名前そのものなのです。
まさに医食同源やっぱり漢方薬はもともと調味料や料理の一種だったに違いありませんね。
ぜひ皆様も温かい鍋料理をたべて、寒くなるこの季節を乗り切ってください。
なお、らいむらクリニックの書棚にはたくさんの料理本が置いてあります。
中にはレシピをメモして帰る患者さんもいるくらいです。ご遠慮無く活用されてください。